① 男性育休の取得率が4割を超えた──ワーママ転職に何が起きるか

厚生労働省と関連メディアの集計によると、2024年度の民間企業における男性の育児休業取得率は 40.5% と、初めて4割台に乗りました。前年度から +10.4ポイント の大幅増です(出典は記事末尾)。10ポイントの伸びって、人事系の指標としては相当大きい部類で、現場の感覚としても「申請が普通に出てくるようになったな」という空気が確かにあります。

合わせて、2025年4月の育児・介護休業法改正で、夫婦双方が14日以上育休を取った場合、給付金が 手取り10割相当 に引き上げられました。さらに、これまで1,000人超の企業に課されていた育休取得状況の公表義務が、300人超 1,000人以下の企業 にも広がっています。

ここまで読んで「で、これがワーママ転職にどう関係するの?」と思われたと思うんですが、採用担当として現場で見えるのは、「育休の話を面接でちゃんと話せる土壌が一気に整った」という変化です。ほんの2〜3年前まで、ワーママ候補者が「育休をどう取りますか」と質問するとそれだけで微妙な空気になる会社、けっこうあったんですよ(私も採用面接で何度か空気を読みました)。それが今は、男性育休が前提の制度設計になってきていて、「育休の話=当事者意識ある候補者」と読み替えられる比率が確実に増えてきました。

ただし全社一律ではありません。私の体感では、従業員300人以上の企業(公表義務の対象)と、IT・通信・金融 あたりは制度整備が一気に進んでいる印象。逆に、人数規模が小さい・地場系・トラディショナルな業界は、まだ「制度はあるけど実態は…」のところが多いです。求人票に「男性育休取得実績○名」「平均取得日数○日」と数字で出している会社は、地味に信用できる指標になります。

ワーママ転職としての具体的な動き方は、いくつか既存記事でかなり詳しく書いているので、合わせて読むと立体的に見えると思います。子育て支援が充実した会社の見分け方子育てに理解のある会社の見つけ方の2本は、まさにこの「制度の数字をどう読むか」を採用担当目線でまとめたものです。

[写真:育休取得率の推移を手書きでまとめた育児ノート風のメモ]

② リスキリング助成金が2026年度で期限──個人で活かせる残り時間

2つ目のトレンドが、これは個人ワーママに直接効く話で、厚生労働省の人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」と「教育訓練休暇等付与コース」が、令和4〜8年度(2022〜2026年度)の期限つき制度だということ。つまり、現行の枠組みは 2027年3月末 でいったん区切りを迎えます。

もちろん延長や後継制度が出る可能性は十分あるんですが、「現在の制度設計のうちに動いておきたい」と考える企業は、2026年度のあいだに研修プログラムを駆け込みで動かしてきます。これは候補者側から見ると、「採用後にリスキリング研修を受けさせてもらえる確率が、いま、わりと高い」ということでもあります。

採用担当としての裏話をすると、リスキリング助成金は会社が主体で申請するんですが、申請するためには「対象者が一定時間以上の訓練を受ける」必要があります。つまり会社にとっては「採用したい人に研修を受けさせて、その費用の一部を助成で取り戻す」モデルなんですね。育休からの復職や転職で「未経験ジョブにキャッチアップしないといけない」立場のワーママは、この制度の追い風が刺さりやすい構造になっています。

転職面接で「リスキリング支援はありますか?」と聞くこと自体、2026年現在の人事側からすると「あ、勉強する気ある人だな」と好印象に映るケースが多いです(前提として、自分が学びたい方向が明確であることが必要ですが)。資格取得や勉強の話は、育休中にFP3級を取った話育休中に資格取得は転職に有利? でも書いていますが、ここに「会社側の助成金タイミング」を重ねて見ておくと、面接でのアピール角度が増えます。

個人で使える制度としては、別枠で「教育訓練給付制度」もあります。こちらは雇用保険の被保険者向けで、ワーママでも受給資格期間が一定あれば対象になることがあります(条件は人それぞれなので、必ずハローワークで個別確認してください)。詳しくは厚労省のサイトを見るのが正確で早いです。

[写真:厚生労働省のリスキリング支援パンフレットと、自分のキャリア棚卸しノート]

③ 大手エージェントのAIマッチング強化──ワーママは何を準備しておくべきか

3つ目は、転職エージェント側の動き。リクルートエージェントは2026年2月時点で 公開求人数が約100万件、dodaは2025年12月時点で 28万件以上の求人 を抱えています。ここまで母数が増えると、人間のキャリアアドバイザーが全部手で見るのは無理で、両社ともに AIによるマッチング・スカウトの自動化 に明確に舵を切っています。

採用担当として両社とやり取りしていて感じるのが、「最初の1スクリーニングがAIに変わると、職務経歴書の書き方の正解が微妙にズレる」ということ。これまで人間のアドバイザーは「行間を読む」ことができたんですが、AIマッチングは キーワード一致過去の通過実績データ を主な判断軸にします。つまり、ワーママ的に「ふんわりまとめた職務経歴書」だと、AI段階で弾かれて人間のアドバイザーまで届かないリスクが地味に増えます。

具体的には、こんなことを意識しておくと差が出ます。

  • 職種名は 業界の標準語 で書く(例:「営業」より「法人営業(BtoB SaaS)」のほうがAIが拾える)
  • 使用ツール・スキルは 固有名詞 で書く(Salesforce、HubSpot、Excel関数名など)
  • 実績は 数値で書ける部分は数値で(売上、件数、改善率)
  • 育休・時短勤務は マイナスに見えない書き方 に変換する(「業務効率化を担当」など)

これらは2026年だから新しく始まった話ではなく、もともと採用担当が「書類の通る人/落ちる人」で見てきた違いです。ただし、AIマッチング比率が上がったことで、その差が以前より残酷に通過率に出る ようになってきた感触があります。

職務経歴書まわりは、採用担当者が3秒で落とす職務経歴書の特徴ワーママの転職成功率を上げる職務経歴書の書き方完全ガイド でかなり詳しく書いています。AIマッチング時代の前提で読み返すと、ピントがちょっと違って見えるかもしれません。

エージェント自体の使い分けは、リクルートエージェントとdoda、採用担当が両方使って比較 と、それぞれの単独レビューで リクルートエージェントの口コミdodaの口コミ を出しています。AIマッチング強化が両社で進んでいるので、初回登録時の入力(職歴・希望条件)は、これまで以上に丁寧にやる価値が上がっています。

[写真:パソコンで職務経歴書を書きながら、求人票と見比べている朝の作業中ショット]

3つ全部に共通する「採用担当の本音」

3つのトレンドを並べてみると、共通する流れが1本見えます。「制度・テクノロジーの両側で、ワーママを採用しやすい仕組みは整いつつある。けれど、その恩恵を取れるかどうかは、候補者側の準備で差が開くフェーズに入った」という感じです。

採用担当として正直に言うと、たとえば男性育休取得率を公表している会社は、ワーママ採用にも前向きなことが多いです。リスキリング助成金を活用している会社は、未経験職への配置転換にも比較的寛容です。AIマッチングを強化しているエージェントは、書き方さえキレイに決めれば、これまで届かなかった求人に一発で届くこともあります。

でも逆に、これらの仕組みの存在を知らないままの候補者と、把握して動いている候補者だと、ほんと数ヶ月で景色が変わります。私はまだ転職活動中の身なので偉そうなことは言えないんですが、「2026年の制度・市場をフラットに把握しておく」こと自体が、これまで以上にワーママ転職の競争力になってきたな、という感覚があります。

もちろん全部一気にやる必要はなくて、自分の状況に近いところから1つずつ。男性育休の話は復職判断にも直結するし、リスキリング助成金は次の職場選びの判断材料になるし、AIマッチング対策は今すぐ職務経歴書を1段ブラッシュアップするきっかけになります。

このトレンドを踏まえて、いま読んでおきたい記事

制度や市場の動きを掴んだあとは、結局「自分の場合はどう動くか」に落とすのが大事なので、合わせて読んでおきたい既存記事をいくつか並べておきます。

📚 もっと根本から知りたい人へ

制度はこれからも動くと思うので、また何か変化があったら、こちらのトレンドカテゴリで追加していきます。気になる項目があったら、上の関連記事から自分の状況に近いものを掘ってもらうと、面接や書類づくりに直接使える情報が見つかると思います。

※ 数字や制度の細部は変わることがあるので、契約・申請にかかわる判断は必ず厚生労働省・ハローワーク・各エージェントの公式情報を一次ソースとしてご確認くださいね。