自己PRを読む側から、書く側になって気づいたこと

採用担当として数年間、転職希望者の自己PRを読んできました。書類選考で1日に20〜30枚読むこともザラにあって、そのなかで「この人は通す」「この人は厳しい」をある程度パターンで判断していたんですよね。

そして双子の育休に入って、自分が転職活動する側になったとき、正直かなり焦りました。「採用担当目線を持っているのに、自分の自己PRが書けない」という、何とも言えない状況に。

[写真:育休中に自己PRを書こうとして途中でやめたメモ帳]

あのとき思ったのは、「採用担当って、自己PRを『内容』よりも『構造』で読んでいる」ということでした。どれだけ経歴がすごくても、どれだけ素直な気持ちを書いても、構造がぐちゃぐちゃだと書類で落とされる。逆に経歴が平凡でも、構造がしっかりしていればちゃんと通る。これは書く側になって初めて実感として腑に落ちました。

この記事では、採用担当として読んできた視点と、育休明けワーママとして書いた体験の両方から、「通る自己PR」の正体を解説します。

ワーママの自己PRでやりがちな3つのミス

採用担当として読んできて、「惜しいな」と思うワーママの自己PRには、いくつか共通したパターンがありました。悪意があるわけじゃないし、むしろ一生懸命書いているのが伝わるのに、構造の問題で損している、という感じです。

ミス①「子どもがいるけど頑張ります」型

「育児中ではありますが、精一杯取り組む所存です」「子どもがいますが、仕事への情熱は誰にも負けません」——これ、気持ちはわかるんですが、採用担当からするとすごく曖昧に聞こえるんです。「頑張る」「情熱がある」だけでは、採用してどんな成果が出るか全く見えない。

しかも、「子どもがいるけど」という前置きが逆効果になる場合があります。わざわざ「でも」のあとに続けることで、自分で「子どもがいることはネガティブな条件だ」と宣言してしまっているように読める。採用担当は子どもがいること自体を問題視していないのに、本人が問題視しているように見えてしまう。

ミス②「ブランク期間の説明」に終始してしまう型

育休中に取得した資格や読んだ本を羅列して、「育休中も自己研鑽を欠かしませんでした」という構成の自己PRも多いです。これ自体は悪くないんですが、「何をしたか」の列挙で終わってしまうと、「だからどうなの?」という疑問が残る。

資格を取ったなら、その資格で入社後どんな成果を出す予定なのか。読んだ本から何を学び、どう仕事に活かすのか。「ブランク中の活動報告」ではなく、「入社後の貢献予測」まで繋げて書かないと、自己PR本来の目的を果たせていないことになります。

ミス③ 抽象的な強みの羅列型

「コミュニケーション能力があります」「主体的に行動できます」「チームワークを大切にしています」——これは、正直全員書いてくるんですよね。採用担当として100枚読んだら70枚はこれが入っている。どれだけ本当のことでも、同じ言葉が並ぶと「またか」という印象になる。

強みはどの言葉を使うかではなく、どんな具体的エピソードで裏付けるかが全てです。「コミュニケーション能力があります」より「入社3年目のときに、部署間の情報共有が断絶していた問題を解決するために、月1回の合同ミーティングを提案して実施しました」のほうが何倍も伝わります。

「通る自己PR」の構造——採用担当が感じた共通点

では逆に、採用担当として「この人は通す」と思ったワーママの自己PRには何があったのか。書いてみます。

[写真:採用担当として書類をチェックしている場面(イメージ)]

一言で言うと、「入社後の自分を具体的に想像できるか」です。自己PRを読んで、「この人が入ったらこういう場面でこういう動きをしそうだ」という映像が浮かぶ人は通る確率が高い。

そのための構造を分解すると、こうなります。

①強みを1〜2つに絞る
複数の強みを詰め込むより、1つか2つに絞って深く書く。「私の強みは○○です」と断言できるものに絞ること。

②その強みが生まれた具体的なエピソードを入れる
職歴のなかから、強みが実際に発揮されたエピソードを1つ選ぶ。「〇年目のとき、△△というプロジェクトで××をした結果、□□という成果が出た」という形で書けると、信憑性が一気に上がります。数字が入れられると理想的(例:「担当顧客数が半年で2倍になった」「部内の誤処理件数が月5件→0件に」など)。

③入社後の貢献を具体的に示す
「入社したら○○の場面でこの強みを活かして、△△のような成果を出したい」という形で締めくくる。これが「入社後の映像」に直結します。

この3ステップで書かれた自己PRは、育休のブランクがあっても、経歴が平凡でも、確実に採用担当の印象に残ります。あくまで私が採用担当として見てきたケースの話ですが。

育休ブランクの書き方:「ブランクがある」ではなく「○○をした期間」

育休明けの転職で一番怖いのがブランク期間の扱いだと思います。「1年以上仕事していないことをどう説明するか」で悩む人が多いですよね。

採用担当として正直に言うと、育休ブランクを「ネガティブ要素」として見ている面接官はそれほど多くない、と感じています(もちろん会社や面接官によりますが)。むしろ気になるのは「ブランク中に何をしていたか」より、「この人は今も仕事への興味関心を持ち続けているか」です。

なので、育休ブランクの書き方は「ブランク期間があります」ではなく「育休中に○○をしました」という主語で書くのが大事。具体的には:

「育休取得中(○年○月〜)は育児に専念しながら、○○の資格取得のため独学で勉強しました。資格は○年○月に合格しています。また、現職の人事業務で活かせる最新の採用トレンド情報を収集し続け、業界の変化についていけるよう努めました」

——という感じです。「育休があるから云々」と言い訳するより、「育休中にやったこと+それが仕事にどう繋がるか」を堂々と書く。それだけで印象がかなり変わります。

ただ一点、注意があります。「育休中に○○しました」という記述が長くなりすぎると、「育休中の話が多いな」という印象になる。育休前の実績が薄くなってしまうので、育休中の話は全体の3分の1以下に抑えて、メインは職歴中の実績エピソードにすることをおすすめします。

実際に通った自己PR例文(双子育休明けバージョン)

ここからは、わたし自身が育休中の転職活動で使っていた自己PRの例文を紹介します。双子育休なので1年半ほどのブランクがありましたが、これで書類通過できた企業が複数ありました。

[写真:転職活動中に書いていた自己PRの手書きメモ]

【例文・全文】

私の強みは「採用業務の全体設計と、候補者・現場の橋渡し役」としての実務経験です。

前職の人事部門では、新卒採用から中途採用まで年間200件以上の選考に関わり、書類選考・面接設計・内定者フォローを一気通貫で担当してきました。なかでも印象に残っているのは、入社3年目に担当した「中途採用の選考通過率改善プロジェクト」です。当時、書類選考後の1次面接通過率が30%を下回っており、面接官と候補者の認識ギャップが原因と分析しました。面接官へのフィードバック面談を月1回実施し、評価基準を言語化・共有したところ、6ヶ月後に通過率が52%まで改善しました。

現在は双子の育休取得中(2025年1月〜)ですが、育休中も人事・採用分野の最新情報を継続して収集しており、生成AIを活用した採用業務効率化のトレンドについて自主学習を続けています。

入社後は、採用業務の改善提案や選考プロセスの設計に携わりたいと考えています。採用担当者と候補者の双方を経験している視点から、マッチング精度を高める仕組み作りに貢献できると考えています。

ポイントを解説すると——まず「強みを1つに絞って」います(採用業務の全体設計と橋渡し)。次に「具体的エピソード+数字」(選考通過率30%→52%、6ヶ月)を入れることで信憑性を確保しています。育休の説明は3行にとどめ、「でも継続している」という部分だけを添えています。そして最後に「入社後の貢献」につなげています。

自分の経歴や職種によって数字やエピソードは変わりますが、この「強み断言→エピソード→育休期間の扱い→入社後の貢献」という構造は、どの職種でも使えるはずです。

「強みが見つからない」ワーママへ

「こんな例文を見ても、自分には語れる強みがない」と思っている人、けっこう多いですよね。わたし自身もそう感じていました。採用担当として他人の強みを引き出す仕事をしながら、自分の強みは出てこない、という矛盾。

[写真:強みを考えるために書き出したノート(ぐちゃぐちゃなやつ)]

そういうときに使っていた方法が「職場のたびに積み上げてきたこと」リストを作ることです。職場での出来事を時系列で思い出して、「誰かに感謝されたこと」「担当を任された仕事」「チームで達成したこと」を書き出す。そこから「なぜ自分がそれを担当したのか」「どんな工夫をしたのか」を掘り下げると、強みの原石が見えてきます。

採用担当として見てきたなかで、「強みがない」という人の多くは「強みがない」のではなく「強みを言語化したことがない」だけです。言語化のサポートが必要なら、転職エージェントのキャリア面談を活用するのが一番早い方法だと思っています。エージェントの担当者は、面談を通じて強みを引き出してくれることが多いので。

📌 自己PRの壁打ちができる転職エージェント

リクルートエージェント:担当アドバイザーとのキャリア面談で、強みや自己PRの方向性を一緒に整理してくれます。「自己PRが書けない」と素直に相談できるエージェントです。

[アフィリンク:リクルートエージェント(A8.net)]

あわせて、自己PRの元になる自己分析が深まる本については、自己分析におすすめの本まとめに書いているので参考にしてみてください。

また、自己PR書き方のベースとなる考え方もあわせて読むと、この記事の内容がより立体的に理解できると思います。

最後に

自己PRって、「自分をよく見せる文章を書かなければ」と構えすぎると、逆に薄くなる気がします。採用担当として感じてきたのは、「素直に仕事のエピソードを語れる人」が一番印象に残るということ。飾った言葉より、具体的な出来事のほうが伝わる。

育休中のブランクも、双子育児の大変さも、それ自体は採用担当はそれほど気にしていません。「入社したらどんな貢献ができるのか」が伝わるかどうかが全てです。

あくまで私が見てきたケースでの話なので、全員に当てはまるとは言えませんが、自己PRで悩んでいるワーママの方に少しでも参考になれば嬉しいです。