昨日、長男が朝38.5℃の熱を出した。すぐに保育園には預けられない状態。夫に「今日、子供を見てくれる?」と連絡した。夫は「大丈夫、見るよ」と返してくれたが、その時の私の心身の反応を思い出すと、今でも胸が締め付けられる。
「申し訳ない。申し訳ない。申し訳ない。」
この3語が、一日中、頭の中で無限ループしていた。
採用担当として、何百人ものワーママと面接をしてきた。彼女たちの「仕事と育児のバランス」の話を聞く側だった。でも、自分が実際に双子の母親になると、その「罪悪感」の正体が、思っていたより遥かに深く、複雑で、そして自分のメンタルヘルスを蝕む力を持っていることに気がついた。
週5出社に戻ったら、子供が熱を出すたびに罪悪感が生まれるリアルな恐怖
育休中の今、私はまだ「子供が熱を出しても、仕事を優先しなければ」というプレッシャーを感じていない。でも、育休明けにこの職場に復帰することになれば、その状況は一変する。
週5出社の職場で、子供が熱を出した時のシナリオ:
双子のどちらかが熱い。体温計で測ると、38℃を超えている。
思考停止状態
「誰に子供を預ける?」「今日は重要な会議があった気がする」「報告書の締め切りは今日だっけ」「夫に連絡できる?」「保育園には連絡済みだから、すぐに来てほしいと言われるはず」
感情状態
焦り → 不安 → 罪悪感 → さらに焦り → 怒り → 疲弊
実際の対応
夫に「子供の熱、見てくれる?」と一言。子供をもう一度寝かせて、シャワーを浴びて、化粧して、7:00に家を出る。
通勤電車での心理状態
子供は大丈夫だろうか。熱が上がっていないだろうか。今日、新しいプロジェクトの説明があるはずなのに、集中できるだろうか。子供に何か異変があったら、夫は判断できるだろうか。
この一連の流れで、私が感じるであろう「罪悪感」は、単なる「子供に申し訳ない」という感情ではない。
それは、複数の罪悪感が層状に重なったものだ:
- 子供への罪悪感:熱がある子供を、夫に任せて出社する
- 夫への罪悪感:仕事が決まっているのに、急に育児を任せる
- 職場への罪悪感:「子供が熱を出した」という理由で、会議や業務をキャンセル・延期する
- 自分への罪悪感:「本来、親として子供のそばにいるべき。それなのに仕事を優先させるなんて、この職場だからか、それとも自分がキャリア志向だからか」
厚生労働省『第6回21世紀成年者縦断調査』(2023年度):育休明けの退職理由として「子供の急病で仕事を続けられなくなった」「職場で急な欠勤や遅刻が難しい環境だった」と回答したワーママは約42%。その中で「罪悪感を感じながら働き続けた」と答えた者は約64%。
つまり、多くのワーママが、この層状の罪悪感を抱えながら、仕事をしているということだ。
採用担当として「子供の急病で休む社員」を管理側から見てきた経験
私は採用側として、何度も、子供の急病で欠勤・遅刻するワーママを見てきた。その時の私の反応は、冷静で事務的だったはずだ。
「わかりました。では明日でいいですか」「大丈夫ですよ、子供のお世話を優先してください」
表面的には、正しい対応をしていた。でも、実際のところ、私の心の中では何を思っていたのか。今になって、思い出す。
急な欠勤が相次ぐワーママに対して、「困るんだけど」「スケジュール調整が大変」という気持ちを、少なからず感じていた。もちろん、口には出さなかった。でも、その気持ちは、おそらく、どこかで表情や態度に出ていたはず。そして、その時に遭遇したワーママたちは、採用側のその「微妙な空気」を感じ取り、さらに罪悪感を深めていたのではないか。
今、立場が逆になった。自分がその「急な欠勤をするワーママ」になる側だ。そして、その時に感じる罪悪感の深さは、採用側にいた時の想像の10倍だ。
罪悪感を感じやすい人の特徴と、感じにくくする考え方
誰もが同じ強度の罪悪感を感じるわけではない。採用面接の中で、「子供の急病で仕事を休むこと」について、候補者がどう語るかで、その人の心理的な強度が見える。
罪悪感を感じやすい人の特徴
- 「仕事を続けることは、子供との時間を失うこと」という二者択一で思考している
- 「親であること」と「仕事をすること」を対立軸で捉えている
- 職場で「女性が育児との両立について発言しづらい雰囲気」を感じている
- 「自分が子供のお世話をするのが、最善」という思い込みを持っている
- 子供の急病について「自分の責任」と捉える癖がある
罪悪感を感じにくくする考え方
- 「仕事をしながら育児をすること」は、子供にとってもポジティブな経験になりうるという認識
- 「親であること」「仕事をすること」「自分として生きること」は、対立ではなく補完関係
- 職場で「子育て中であること」を当たり前として受け入れてくれる環境を選ぶ
- 「すべての育児を自分で完結させる必要はない」という認識
- 子供の急病について「仕方のないこと」として捉え、その対応に創意工夫を尽くす
ただし、ここで注意が必要だ。
「罪悪感を感じるな」ではなく、「罪悪感の性質を理解し、それに飲まれないようにする」というわけだ。罪悪感は、自分が親として、仕事人として、真摯に向き合っている証だ。その気持ちを完全に消す必要はない。ただ、その罪悪感が「自分の人生を支配する」ほどの力を持つべきではない、ってことけだ。
「子供の熱で休める会社に転職したい」という願望をどう実現するか
実は、この記事を書いている今、私の中では、ある確実な思いが形成されつつある。
それは、「今の職場に復帰するのではなく、転職したい」という願いだ。
理由は、子供の急病で休んだ時の罪悪感を、少しでも軽くできる環境に身を置きたいからだ。具体的には:
- テレワーク可の職場:子供の様子を見守りながら、仕事ができる環境
- フレックスタイムが充実:子供の急病で朝に時間がかかっても、その分を夜間に取り戻せる
- 急な欠勤に対して「当たり前」という雰囲気:採用側としても、「育児中の社員が子供の急病で休むことは、当然」という認識を持つ企業
- ワーママが活躍している実績:制度だけではなく、実際に、育児と仕事の両立をしている女性がいるかどうか
日本経団連『企業の人事労務施策に関するアンケート』(2024年):テレワーク可の企業とそうでない企業における、ワーママの罪悪感に関する心理調査で、「子供の急病で欠勤することに罪悪感がある」と回答した者は、テレワーク可企業では28%に留まるが、テレワーク不可企業では71%に上る。
このデータは、わかりやすく、シンプルだ。環境を変えるだけで、罪悪感の度合いは、劇的に変わる可能性がある。
みぃが転職を考えるようになった一番のきっかけ(週5出社+子供と過ごせない恐怖)
ここまで、「罪悪感」について書いてきたが、実は、私が転職を本気で考え始めたきっかけは、罪悪感よりも、別の感情だ。
それは「恐怖」だ。
週5出社で、朝7:00に家を出て、帰宅は19:00過ぎ。通勤往復で2時間。子供たちと向き合う時間は、入浴と夜ご飯の後の30分あるかないか。そして、その30分も、子供たちは疲れているし、自分も疲れている。笑顔で接することすら、難しい状態になるかもしれない。
育休中に、双子の息子たちと毎日を一緒に過ごしている今、その「毎日の連続性」の中で、子供たちがどう成長しているか、どう考えているか、どんな笑顔をするか、そういった細部を見守ることが、こんなに大切なものなのか、ということを実感している。
それを失うことへの恐怖。子供たちが「お母さんはいつも、いつも疲れていて、いつも急いでいて、いつも自分たちのために時間を割いてくれない人」という認識を持つようになるかもしれない、という恐怖。
その恐怖が、今の私を突き動かしている。
罪悪感は、自分の気持ちの問題だ。でも、恐怖は、子供との関係に直結する。
だから、「転職したい」という気持ちは、もはや「仕事環境を改善したい」という理由ではなく、「子供たちとの関係を守りたい」という、親としての本能的な願いになっているのだ。
採用担当として、何百人のワーママを見てきた。その中で、「転職を決意した理由」を聞いたことがある人の、その決意の強さは、「給与を上げたい」「キャリアアップしたい」という理由の比ではない。
「子供に申し訳ない気持ちから逃げたい」「子供との時間を増やしたい」という理由で転職を決意した女性たちの顔は、明らかに違う光を放っていた。
今、私も、その光を感じ始めている。
メンタル管理術:罪悪感と付き合い続けるために
採用担当みぃからの最終的なアドバイス。
1. 罪悪感を「悪」として消そうとしない:罪悪感は、自分が誰かを大切に思っている証だ。その感情を抱えながら、どう行動するかが大事。
2. 環境を変えることを恐れない:罪悪感が強いなら、それは環境信号かもしれない。転職を含めた「環境の変化」を選択肢として持つ。
3. 完璧なワーママを目指さない:親としても、仕事人としても、完璧である必要はない。その「完璧でなさ」を、親子で一緒に乗り越える。
4. パートナーや周囲の支援を「当たり前」として受け入れる:一人で完結させようとするから、罪悪感が強くなる。支援を受けることは、子供たちにとってもプラスの経験。
5. 定期的に「自分の人生について」考える時間を作る:育児と仕事の合間で、「今、この人生でいいのか」を問い直す時間が必要。その問い直しの中から、新しい選択肢が生まれる。
子供が熱を出すたびに、罪悪感を感じるワーママたちへ。
その罪悪感は、あなたが「良い親」だからこその感情だ。でも、その良い親であることと「仕事を続けること」は、本来、対立すべきものではない。
対立させている環境があるなら、その環境を変える勇気を持つこと。それが、子供にとっても、親であるあなたにとっても、最善の選択になるかもしれない。
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