採用担当として、何人のワーママに内定を出してきたか

採用担当として中途採用を担当してきた数年間で、ワーママの候補者に関わった件数は正確には覚えていませんが、書類選考で通過させたのは40〜50人、実際に内定を出したのは10〜15人くらいだと思います(あくまで私が担当した分だけですが)。

それを踏まえて書くので、「全てのワーママに当てはまる」という話ではないし、「採用担当全員がこう思っている」という話でもありません。あくまで私の経験の範囲で見えてきたパターンです。そのことを先に断っておきます。

[写真:面接の後に書いた評価シートのメモ(個人情報のない部分)]

それでも、転職活動をしているワーママが採用担当の視点を少しでも知れたら、書類や面接の準備に役立てられるかもしれない。そう思って書くことにしました。

内定が出たワーママの共通点

採用担当として内定を出してきたワーママに共通していたのは、大きく3つです。

①「制約」より「貢献」を前面に出していた

「子どもがいるので残業はできません」「時短勤務が必要です」という伝え方ではなく、「残業は月○時間程度でお願いしたい。そのなかで○○の成果を出すことをコミットします」という言い方ができる人。制約を隠すのではなく、制約のなかで何ができるかを語れる人です。

採用担当として正直に言うと、制約の話を最初に持ってこられると「この人を採って大丈夫か」という不安が先に来てしまう。貢献の話を先に聞いて、そのうえで「だから〇〇の条件が必要です」という順番の方が、印象が全然違います。

②サポート体制が具体的だった

「家族のサポートがあります」より「夫が週3日テレワークで子どもの急な発熱時に対応できます。それに加えて病児保育を2施設登録済みです」という具体性。これは面接でも書類でも、具体的な情報があればあるほど採用担当の安心感が増します。

③職歴の実績が数字で語れた

「〇〇の経験があります」ではなく「〇年間の△△業務で、××という成果を数字で出してきました」という形で過去の実績を語れる人。これはワーママに限らず転職全般に言えることですが、育休ブランクがある場合は特に「直前の実績」が評価の拠り所になるので、数字を出せる人は強い。

「子どもがいること」がプラスになる瞬間

採用担当をしていて「あ、この人は子どもがいることがむしろ強みになっている」と感じた瞬間がいくつかありました。

一つは、「子育て支援制度を整備したい」「育児と仕事の両立環境を作りたい」というポジションへの応募です。制度整備の担当として採用する場合、当事者として子育て経験を持つ人の方が現場の課題を肌感覚で理解している、という評価が出やすい。「あなた自身が経験しているからこそ、この制度設計ができると思う」という文脈です。

もう一つは、面接でのコミュニケーション力です。子育て経験がある人は「複数の人間の異なる要求を同時に整理する」という日常的な訓練をしている。それが「状況整理力・優先順位付け・感情のコントロール」として面接でも出てくることがある。

[写真:面接室のイメージ(テーブルと椅子だけのシンプルな部屋)]

もちろん「子どもがいること」が直接加点されるわけではありません。でも、それを経験として活かせるような語り方ができる人は、採用担当として「この人面白いな」と感じます。

書類でわかる「内定が出そうなワーママ」の特徴

書類選考の段階で「この人は次に進めよう」と判断するときの基準を、できるだけ正直に書きます。

職務経歴書の「量」ではなく「密度」:2ページに薄く書かれているより、1ページに凝縮された実績がある方が通りやすい。採用担当は書類を「読む」というより「スキャンする」に近いスピードで見ているので、すぐ目に入る部分に数字と実績があることが大事。

応募ポジションへの「繋がり」がある:職務経歴の内容が、応募先のポジションにどう繋がるかが書いてある書類は通りやすい。「なぜうちの会社に応募したのか」「なぜこのポジションなのか」が職務経歴書を読んでいるだけで伝わると、面接で確認したいことが増える(=面接に呼ばれる)。

育休期間の扱いが明確:育休中の期間は「○年○月〜現在 育児休業中」と明記されているのが一番明快です。ここが曖昧だと採用担当側で「この期間は何?」という確認が必要になり、マイナス印象が出ることがある。育休ブランクは隠す必要がないので、はっきり書いてください。

面接で「この人を採りたい」と思う瞬間

面接での「採りたい」という感覚は、正直なところロジックで言語化しづらい部分もあります。でも共通している要素として感じてきたのはこれです。

「この人はここに来たいんだな」という気持ちが伝わる瞬間。志望動機の熱量でも、会社の事業への理解度でも、「うちの会社の何に共鳴しているのか」が伝わると採用担当は嬉しい。転職活動中は複数社受けているのは当然ですが、その会社への具体的な関心が見える人は印象に残ります。

ワーママの面接でもう一つ印象に残るのは、「子どもがいることを過度に謝らない人」です。「ご迷惑をおかけするかもしれませんが」と繰り返す必要はない。当然の権利として育休を取り、当然の生活として子育てをしており、そのうえで仕事でこれだけの貢献ができる——そういうスタンスが自然に出ている人の方が、採用担当として「この人が入ってもうまくいきそう」という気持ちになります。

また、面接の「逆質問」で職場環境を具体的に確認してくる人も印象がいいです。「子育て中の社員の実際の働き方を教えてもらえますか」という逆質問は、自分の働き方を現実的にシミュレーションしているということで、入社後もギャップが出にくい人材だと判断できる。面接でワーママが使える逆質問についても別記事でまとめています。

内定が出なかったワーママに正直に言うと

これは書くかどうか迷いましたが、「なぜ通らなかったのか」を知りたい人もいると思うので書きます。あくまで私が採用担当として見てきたケースで、全員に当てはまるわけでありません。

書類で落とした主な理由の上位は「実績が数字で語られていない」「ポジションへの繋がりが見えない」「フォーマットが読みづらい」の3つでした。育休ブランクを理由に落としたことは、少なくとも私の記憶では一度もありません。

面接で内定に至らなかったケースで多かったのは「条件交渉が面接の最初から」という場合です。給与・時短・リモートの要望が、職務内容や志望動機より先に出てくると、採用担当側に「この人は条件から入る人なんだな」という印象が先行してしまう。条件の話は1〜2次面接では最後か、最終面接で改めて確認、というのが印象を良く保ちやすいです。

[写真:面接後の振り返りノートのイメージ]

もう一点、「会社への関心が薄い」と感じるケースも一定数ありました。転職活動中に複数社を受けているのは当然なので、全力で一社に絞れとは言いません。ただ面接の場では「この会社・このポジションへの関心」を示すことが、通過率に直結します。

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最後に

採用担当として「ワーママだから落とした」ことは一度もない、と断言できます。子どもがいることを加点・減点の直接要素にすることは、少なくとも私の採用では意識してやっていませんでした。

ただ、「ワーママであることを言い訳にした書類・面接」と「ワーママであることを経験として語れる書類・面接」では、採用担当として受ける印象が全然違う。この差が内定の分岐点になることはあると思います。

自分が採用担当だったとき、採用に至らなかったワーママに対して「もったいないな」と感じた瞬間は何度もありました。今こうして書いているのは、そのもったいなさをどうにかしたいという気持ちがあるからかもしれません。

これはあくまで私の経験の話です。採用担当の価値観は会社によって全然違うし、ここに書いたことが正解とも言えません。ただ、転職活動の書類や面接の準備に「採用担当の視点」を少しだけ入れてみることで、伝わり方が変わることはあると思っています。