「あの質問」に震えたワーママたち

転職活動をしているワーママから、面接の体験談を聞くとき、ほぼ必ずといっていいほど出てくる話があります。

「子どもが熱を出したらどうしますか?って聞かれて、頭が真っ白になりました」

この質問、ワーママ転職の鬼門みたいになっていますよね。育休明けの面接でも、転職時の面接でも、子どもがいると伝えた瞬間に高確率で飛んでくる。特に小さい子どもがいるワーママは、もう身構えてしまう、という人も多いと思います。

わたしは採用担当として何年もこの質問をする側にいました。そして今は双子を持つワーママとして育休中に転職活動をする側にいます。両方の立場を経験しているから、正直に言えることがあるんですよね。

この記事では、採用担当が「この質問で本当に何を見ているのか」を包み隠さず話します。NG回答パターン、合格率が上がる回答の構造、逆質問への転換まで、全部まとめます。

※ この記事は育休中転職と保育園問題の続き記事です。あわせてどうぞ。

なぜ面接官はこの質問をするのか

まず大前提として、この質問をする面接官の多くは、「子どもが病気になったら仕事を休みますよね?それって困りますよね?」という意地悪な確認をしたいわけじゃないんです(たまにそういう面接官もいますが、それはその会社を見極めるための踏み絵になります——後述します)。

採用担当として正直に言うと、この質問で確認したいのは主に3つです。

①突発的な事態への対処能力・事前準備があるか。子どもの急な発熱は「予測できるトラブル」です。ワーママなら必ず直面する。そのときの対応策を事前に考えているか、具体的な準備ができているかを見ています。

②職場に必要なフォロー体制をイメージできているか。「どうにかします」「家族に頼ります」という漠然とした答えではなく、仕事上の段取り(引継ぎ、連絡方法、リモート対応の可否など)まで考えられているかを見ています。

③自分の状況を客観的に説明できるか。感情的にならず、冷静に自分のサポート体制と限界(どこまでは対応できるか、できないか)を伝えられるコミュニケーション能力を見ています。

要するに、「休みます」か「休みません」かを聞きたいんじゃなくて、トラブルが起きたときに冷静に対処できる人かどうかを見ているんです。これ、すごく重要なポイントなのでここ覚えておいてほしいです。

採用担当が「難しいな」と思うNG回答

では逆に、採用担当として「この人は難しいな」と感じてしまう回答パターンを正直に書きます。

NG①「できる限り休まないようにします」

これ、一番多いんですよね。気持ちはわかるんですが、採用担当からすると「意志の話をされてもな……」という感じになってしまう。子どもの熱は意志でどうにかなるものじゃないし、「できる限り」という表現はトラブルが起きたときの対処が曖昧なまま、という印象になります。

NG②「夫/両親に任せます」で終わり

夫や両親のサポートがあることを伝えること自体は大事です。でも「任せます」で終わると、「夫や両親が対応できないときはどうするの?」という疑問が残る。具体的なバックアップ体制まで含めて話せないと不安を残してしまいます。

NG③「そういうことで迷惑をかけないよう頑張ります」

採用担当として「迷惑をかけるかどうか」という軸で答えられると、正直少し気になります。子どもの病気で休むことを「迷惑」と捉えているということは、実際に休んだときに罪悪感を持ちすぎて精神的に消耗してしまうリスクや、無理をして出勤してしまうリスクを感じてしまう。

NG④「正直まだ考えていなかったです」

これが一番厳しい評価になります。「予測できるトラブルに対して準備していない」ということは、仕事上でも同じ姿勢が出るかもしれない、と判断されます。特に中途採用の場合は即戦力を求めていることが多いので、準備不足の印象はマイナスになりやすい。

合格率が上がる回答の「構造」

じゃあ、どう答えればいいのか。採用担当として「この人はしっかり考えている」と感じる回答には、ある共通の構造があります。

【回答の黄金構造】

サポート体制を具体的に示す(誰が、どういう状況で対応できるか)
仕事上の対応策も示す(引継ぎ方法、リモート対応の可否、チームへの連絡方法など)
限界を正直に示す(全部は対応できないことを素直に伝える)
それでも貢献できる点を添える(成果へのコミットメントを最後に示す)

この4ステップで答えると、「準備している」「現実的に考えている」「コミュニケーションが誠実」という印象を与えることができます。

特に重要なのが③の「限界を正直に示す」部分です。ここを誤魔化すと、「全部対応できます!」という無理な約束をしているように聞こえてしまい、かえって信頼感が下がります。「夫も同じく正社員のため、夫が対応できないケースも月に1〜2回は出てくる可能性があります」のように、現実的な数字や状況を交えると一気に具体性が増します。

みぃ流・具体的な回答例(双子バージョン)

ここからは、わたし自身が面接で使っていた回答例を紹介します。双子持ちという事情もあって、子どもの発熱リスクは一般のワーママより高い(苦笑)。だからこそ、準備にはかなり時間をかけました。

「子どもが熱を出した場合については、まず第一連絡先として夫に連絡し、夫のスケジュール次第でどちらが対応するか即座に決められる体制を取っています。夫も在宅勤務が週3日ほど可能な職場なので、平日午前中であれば対応できることが多いです。また、双方ともに対応が難しい場合のために、病児保育の登録を現在の居住区で2施設に済ませており、前日夜までに予約できれば翌朝預けることが可能です。仕事上の対応としては、急な欠勤の際の引継ぎ手順を事前にドキュメントとしてまとめておくことを習慣にしています。ただ正直に申し上げると、双子ですので発熱が重なることもあり、どちらの体制も使えない場面が年に数回は出てくる可能性があります。その際は在宅での作業対応を最優先に考えますが、どうしても難しい場合はご相談させてください。そのうえで通常業務においては、事前に成果物の見通しを立てて管理することで、突発的な休みが出ても全体の進捗に影響が出にくい動き方をしてきました」

……こんな感じです。長いですが、実際の面接では2〜3分以内でこれが言えるように練習しました。

ポイントは「夫の在宅日数」「病児保育の登録状況」「年に数回は難しい場合がある」という具体的な情報を入れることです。曖昧な表現ゼロで答えると、聞いた側が不安を持つ余地がなくなります。

また、双子なのでリスクが高いことを隠さず最初から言うようにしました。入社後にわかるよりも、採用段階で「そういう状況なんだ、それでも活躍できると判断した」という合意の上で採用される方が、お互いのためになると思っていたので。

この質問を「逆質問」に変える技術

採用担当として特に「この人できる」と思ったのが、上手に逆質問に転換するタイプのワーママでした。

たとえば、「子どもが熱を出した場合に備えて〇〇の体制を整えています。実際に御社では、急な欠勤が発生した場合のチーム内でのフォロー体制はどのように運用されていますか?」という流れで逆質問に持っていく。

これ、めちゃくちゃ賢いんですよね。自分の準備を示しながら、「会社側にも体制があるか確認している」という姿勢を見せられる。そして企業の回答を聞くことで、「この会社がワーママに対してどの程度の理解と整備をしているか」を直接確認できる。

他にも使える逆質問として、「育児中の女性社員が実際にどのくらい活躍されているか」「時短勤務やフレックスの実際の利用状況」「在宅勤務の申請のしやすさ」などがあります。これらを聞くことで、会社の文化と実態を知ることができます。

企業が答えに詰まる、または曖昧な返答しかしない場合——正直、そこは「入社後も同じ」と思っていいと思います。ワーママが働きやすい環境が整っている会社は、この手の逆質問に自信を持って答えてくれます。

「この質問の答えが通じる会社」を選ぼう

採用担当として長年いて感じるのは、この「子どもが熱を出したら」という質問に対して、どういう返し方をするかで会社の文化が如実に出るということです。

ワーママに厳しい会社の面接官は、具体的な回答を聞いても「でも実際は休みますよね」とさらに掘り下げてきたり、「週に何回くらい休む想定ですか」と詰めてきたりします。こういう会社は、入社後もワーママが働きにくい環境である可能性が高い。

逆に、ワーママが活躍しやすい会社の面接官は、具体的な回答に対して「それならこういうフォロー体制もありますよ」と情報を共有してくれたり、「うちでも同じような状況の社員がいて〇〇という形で対応しています」と実例を教えてくれたりします。

この質問への企業の反応は、入社後の働きやすさのリトマス試験紙として使えます。答えを準備するだけじゃなく、企業側の反応を観察する機会として積極的に活用してほしいです。

ユームテクノロジージャパンの調査によると、育休から復帰した女性の77.7%が復帰後に「壁」に直面しており、その最大の課題が「育休前に積み上げたキャリア・ポジションが維持されない」こと(46.4%)だとされています。転職でその「壁」を乗り越えようとしているワーママは多い。だからこそ、転職先選びでちゃんと「この質問の答えが通じる会社か」を見極めてほしいんです。

📌 ワーママの働きやすい職場を一緒に探してくれるエージェント

リクルートエージェント:担当アドバイザーに「子育て理解のある職場かどうかも含めて選んでほしい」と伝えることができます。非公開求人も含めた幅広い選択肢が強み。

doda:「産休・育休取得実績あり」「育児・託児支援制度あり」などのフィルターで検索できる「Women Career」機能が便利。ワーママが実際に活躍している職場を絞り込みやすい。

エージェントを使う場合も、「子育て理解のある文化かどうか」を選定基準の一つとして担当アドバイザーに最初から伝えておくことをおすすめします。この条件、言葉にして伝えないと見落とされることがあるので。

最後に

「子どもが熱を出したらどうしますか?」という質問、実はワーママを試す質問じゃなくて、ワーママが会社を試せる質問でもあると思うんです。

自分の準備を具体的に言語化することで、採用担当に「この人は考えている」と伝えられる。そして企業の反応を見ることで、入社後の働きやすさを事前に判断できる。

双子を持つわたしは、この質問を最初はとても怖く感じていました。でも、具体的な答えを準備して、逆質問に転換する練習をしてからは、むしろこの質問が「企業の文化を見極めるチャンス」に変わりました。

同じように面接に不安を感じているワーママの方に、この記事が少しでも役立てば嬉しいです。準備した言葉は、必ず自信になります。