FP試験の概要と合格率について

育休中のこの時間を活用して、ファイナンシャルプランナー(FP)3級の資格を取得しました。正直なところ、育児と仕事の両立が難しくなる時代だからこそ、「自分の人生のお金」について真摯に向き合う必要があると感じていました。採用担当として多くのキャリアウーマンを見てきましたが、お金と人生設計について深く考えている人は、転職時に非常に有利になります。

FP3級の合格率は例年70~80%。決して難しい試験ではありません。むしろ、「ちゃんと対策すれば誰でも合格できる」という点が素晴らしい。育休中に月20時間程度の学習を確保できれば、十分に狙える資格です。特にワーママにとっては、転職時の履歴書に「お金の管理を真摯に考えている人」というメッセージを伝えられます。

試験は年に3回(1月、5月、9月)開催されます。育休期間が決まっているなら、その期間内に試験をスケジュールしておくことをお勧めします。復職後は、子どもたちのお世話と仕事で精一杯になるから、「今この時間を使う」という決断が重要です。

双子育児中の勉強スケジュール

「双子を育てながら勉強なんて無理」——多くのワーママはそう思うかもしれません。私も最初はそう思いました。でも、工夫次第で可能です。ポイントは「まとまった勉強時間を作る」のではなく、「細切れ時間を積み重ねる」ことです。

具体的な勉強スケジュール

  • 朝5:30~6:00(30分):子どもたちが寝ている間に、参考書を1章分読む。この時間は固定します。
  • 昼12:30~13:00(30分):昼寝の時間に過去問を解く。1問5分なので、6問できます。
  • 夜21:00~21:30(30分):子どもたちが寝た後、苦手な分野を重点的に復習。
  • 週末2時間:パートナーに子どもたちを見てもらい、カフェで模試を解く。

つまり、1日平均1.5時間。これなら、育児と両立できます。重要なのは「毎日続ける」こと。ワーママの勉強は「量」ではなく「質」と「継続性」で決まります。

私が実践した工夫は、参考書を「2冊読む」ことです。1冊目で理解できなかった部分が、2冊目で突然クリアになることがあります。特にお金の知識は、複数の視点から学ぶことで初めて自分のものになります。

なぜ転職前にFPを取ると有利か(採用担当視点)

採用担当として、面接で「最近FP3級の資格を取得しました」と言う候補者を見ると、かなり好印象を持ちます。なぜか?それは、その資格が「単なる知識」ではなく、「人生設計への真摯さ」を示すシグナルだからです。

ワーママの転職は、企業側からすると「育児と仕事の両立ができるか」「長く働いてくれるか」という不安があります。その不安を払拭する最良の方法の一つが、「自分の人生について責任を持っている」というメッセージです。FPの勉強を通じて、税金、保険、資産運用、老後資金について考えている人は、当然ながら自分のキャリアについても戦略的に考えています。

特に、中小企業のIT系で採用・育成に関わる立場だから言えることですが、給与交渉の際にも「新NISAについて」「所得税の最適化」などの話題が出ると、かなり高度な交渉ができます。企業側も、こういう候補者には「この人は長期的に会社と共に成長してくれそう」と判断します。

また、FP資格を持つことで、育休中に「人事として給与体系を見直せる視点」が増えます。実際、私は復職後に現在の職場の確定拠出年金制度について改善提案をしました。それも、FPの勉強を通じて初めて気づいた「改善点」でした。つまり、この資格は「自分のキャリア」だけでなく、「組織への貢献」にもつながるのです。

📚 1冊目:みんなが欲しかったFPの教科書3級

みんなが欲しかった!FPの教科書 3級 著:滝澤ななみ(TAC出版)

FP試験対策の定番中の定番です。この本の最大の特徴は、「ムダな情報が一切ない」こと。受験に必要な知識だけが、効率よくまとめられています。特に「ライフプランニングと資金計画」の章は、実務的で、育児中の身にはリアルに響きました。

子どもの教育資金、マイホーム購入、老後資金という3大支出について、数字で明確に学べます。双子の育児費用はいくらかかるのか、大学資金はいつから貯めるべきか——こういう実際の悩みが、この本を読むことで「計画」に変わりました。

著者の滝澤ななみさんは簿記・FPの受験書で累計1000万部超のTAC出版看板シリーズを書いてる方で、本当に「試験に出る部分」「出ない部分」の判別が上手です。育休中の限られた時間を有効活用するなら、まずはこの1冊から始めるべき。読破に要する時間は、平均30~40時間。この本を完全に理解すれば、合格の65%は確保できます。

📚 2冊目:スッキリわかるFP技能士3級

スッキリわかる FP技能士3級 著:白鳥光良(TAC出版)

同じTAC出版の、白鳥光良さんによるもう一つの定番書です。「みんなが欲しかった~」(滝澤ななみ)と「スッキリわかる~」(白鳥光良)の二冊を読む理由は、著者が異なるため、同じ内容を「別の視点」から学べるからです。特に保険の章や税金の章で、理解が深まります。

この本は、図解が豊富で、ビジュアル的に理解しやすい構成です。育児で疲れた脳にとって、「文字ばかりの説明」より「図+説明」の方が確実に効率的。最初の教科書で「なんとなく理解」した内容が、この本で「完全に理解」に変わります。

特に複利計算や年金の計算式など、数学的な部分での説明が丁寧です。「なぜそうなるのか」という理屈を理解することで、問題の応用にも強くなります。育休中の私は、この本とPDFの電子版を、スマホで通勤時間(今は育児の合間)に読んでいました。

📚 3冊目:新・臆病者のための株入門

新・臆病者のための株入門 著:橘玲(文春新書)

FP試験対策の教科書を読んだ後、「プラス1冊」として資産運用と新NISAを深く理解するために読んだのが、橘玲さんの『新・臆病者のための株入門』です。2006年刊のロングセラー『臆病者のための株入門』を全面刷新し、「臆病者のための新NISA活用術」の章を新規追加した2024年10月の改訂版です。

FP試験では「新NISAの基礎知識」を暗記として学びますが、実際に自分の資産運用に活かすには、「なぜインデックス投資が合理的か」「何割を現金で持ち、何割を投資に回すか」というファイナンス理論の視点が必要になります。この本は、その理論を平易に説明した上で、新NISAをどう使い倒すかまで踏み込んでくれます。

育休中だからこそ、「今後30年のお金の戦略」を立てるチャンスです。この本を読むことで、子どもたちの教育資金、自分たちの老後資金をどう構築するか、という具体的な計画が立てられました。特にワーママは給与が限られているからこそ、資産運用による「複利の力」を理解することが重要です。

💡 勉強のコツ:FP試験対策として「3冊を順に読む」というアプローチをお勧めします。1冊目で全体像を掴み、2冊目で各分野を深掘りし、3冊目(橘玲)で実務的な視点を加える。この3段階で、FPの知識が「試験のための知識」から「人生のための知識」に変わります。

04. FP3級試験:合格に向けた3ヶ月スケジュール

育休中にFP3級合格を目指すなら、「試験日から3ヶ月前」がスタート地点です。採用担当として見ていて「この人は計画的に勉強した」って感じる人の特徴が、このスケジュール感です。

第1ヶ月:基礎理解フェーズ

  • 目標:「みんなが欲しかったFPの教科書」を1周読み込む
  • 学習時間:1日1.5時間 × 30日 = 45時間
  • 具体的内容:ライフプランニング→保険→金融資産→不動産→タックスプランニング→相続・贈与を順番に学ぶ
  • チェック方法:各章終了時に、軽く復習問題を解く
  • ポイント:「完全理解」より「全体像の理解」を優先。分からない部分は、2周目に理解する

第2ヶ月:深掘り理解フェーズ

  • 目標:「スッキリわかるFP技能士3級」で弱点を補強
  • 学習時間:1日1.5時間 × 30日 = 45時間
  • 具体的内容:1冊目で分からなかった章を重点的に。特に「計算問題」「保険の種類」「税金の仕組み」
  • チェック方法:過去問の解説を読みながら、理解を深める
  • ポイント:2冊の教科書を並行して読むと、同じ内容の「別の説明」に出会えて、理解が加速する

第3ヶ月:実践直前フェーズ

  • 目標:過去問で70点以上を安定して取る。同時に「新・臆病者のための株入門」で実務知識を習得
  • 学習時間:1日2時間 × 30日 = 60時間
  • 具体的内容:過去問を「見て解く」→「解説を読む」→「なぜその答えか理解する」の3段階を繰り返す
  • チェック方法:模試で70~80点が安定したら、合格圏内
  • ポイント:過去問は同じ問題が繰り返し出るので、過去3年分を完全に理解することが重要

この3ヶ月150時間の学習で、ほぼ100%の確率で合格できます。ワーママにとって大切なのは「毎日少しずつ」続けることです。

05. 面接で「FP資格」をキャリアの武器にする方法

FP3級を取得したら、転職面接で「どう伝えるか」が重要です。採用担当の立場から、効果的な伝え方を書きますね。

弱い伝え方:「育休中にFP3級を取得しました」

  • 採用担当の心象:「へえ、時間があったんだ」程度
  • 理由:「資格を持っている」という事実だけでは、ビジネス価値が明確でない

強い伝え方:「育休中にFP3級を取得し、その過程で新NISAと確定拠出年金の仕組みを深く理解しました。特に貴社の確定拠出年金制度について、運用効率を15%高める改善案が見えています」

  • 採用担当の心象:「この人は『資格取得という自己投資』→『その知識を組織に還元する』という一連の思考ができる人だ」
  • 理由:単に資格を述べるのではなく「その知識で会社に貢献できる視点」を示しているから

採用側から見ると、FP資格は「あったら素晴らしい」ものではなく「その知識をビジネスに活かせるか」が問われます。面接での伝え方で、その資格の価値は2倍にも3倍にもなるんです。

06. ワーママがFP学習から得られる、転職活動への副次的効果

FP試験の勉強を通じて、実は「転職活動そのものの質」が上がるという副次効果があります。採用側として見てきた「FPを学んだワーママ」と「学ばないワーママ」の転職活動の差を書きますね。

給与交渉での差:

  • FP非取得者:「現職より20万円アップしてくれたら嬉しいです」という相対評価
  • FP取得者:「市場価値として〇〇万円が相当と考えます。加えて、新NISAの会社拠出による税制優遇や、確定拠出年金の5年後マッチングを考えると...」という絶対評価による交渉

復職後のポジショニングの差:

  • FP非取得者:現場での業務をこなすだけ
  • FP取得者:給与体系、福利厚生、資産形成制度の改善提案ができる立場へ。つまり、HR業務への関与を広げるチャンス

つまり、FP学習は「自分のお金を守る」だけでなく「キャリアを広げる」ためのツールになるのです。

最後に

育休中の勉強は、子どもたちの成長を見守りながら、自分の成長もさせてくれる素晴らしい時間です。FP3級の資格取得を通じて、「お金」というテーマで人生を俯瞰する力が身につきました。これは、転職時の自信にもなりますし、子どもたちへの「お金教育」の第一歩にもなります。

ワーママの皆さんへのメッセージは、「無理せず、でも諦めない」です。限られた時間だからこそ、優先順位をつけて、本当に必要な学習に集中する。その先に、新しいキャリアの可能性が広がっています。